インテルナシオナルサポーター

■クラブWCの権威
クラブワールドカップ”は名前だけの大会で、現実はトヨタカップを延長したいがためにやってるに過ぎない。大会はいまだ広告代理店やTV局のマーケティング戦略の域を出ておらず、開催国の日本においてもワールドカップと呼べるだけの権威も実勢もない。
今回はたまたま人気チームであるバルセロナが出場するが故に僅かに盛り上がりを見せてるだけであるが。
国内のプロサッカーリーグであるJリーグでさえ。今のところJリーグ側はこの大会に何が何でも出場するためにACLに立ち向かっている様子も伺えない。
もちろん出場できたクラブチームはそれこそクラブの名誉を賭けて戦っているだろうが。

さて、この大会に権威をつけるには、敬愛するケット・シーさんがおっしゃってるように「世界各都市持ち回り制」「開催国枠導入」の二つを同時に実現することが早道であると私も思う。
自らを権威付けたい川淵氏が協会長席にしがみついてる間は無理であろうが。
しかし、物見遊山で出かけた私を打ちのめしたのはインテルナシオナルサポーターであった。
インテルナシオナルサポーター
クラブWC決勝戦は、予想通りに南米代表のインテルナシオナルと欧州CLを勝ち抜いたFCバルセロナの戦いとなった。
横浜国際のスタンドをいっぱいにした日本の”サンリオ製”バルサグッズに身を包んだ人々を圧倒したのは、ガウーショ魂に身を包んだインテルナシオナルサポーターであった。
およそ千人くらいの集団が4箇所に分かれ、試合前から終わりまで熱く野太い声で横浜国際競技場を占拠していた。
もちろん彼らはゲーム前からスタジアム外周の通路で雄たけびを上げ、踊り跳び、ビールをあおり自らのモチベーションを高めていた。
私は、この日はその独立運動に勇敢に戦ったカウボーイたちを先祖に持つオヤジたちのスグそばで観戦した。
彼らに親しみを感じていたのは、たまたま彼らとホテルが同宿でホテルのパブリックスペースを占拠したインテルユニに身を包んだ彼らの意気軒昂ぶりを目にしていたせいもある。
彼らは生涯最高の夜を迎えるべく遠く離れた冬の横浜にやってきたのだ。
■堅守圧倒
インテルは、ロナウジーニョにほとんど仕事をさせなかった。
もしかして六本木での遊びが祟ったのかFWグジョンセンが不調で、デコやジュリはボールの出しどころを探してばかりであった。
インテルの4バックとウェリントン、エジーニョ、アレックスの3ボランチは堅実にしかも黙々と仕事をしていた。
ゲーム中ずっとバイタルエリアにはスペースが無かったし、おそらくバルサの負けパターンを研究しただろうブラガ監督の指示を着実に守り、リスクを犯さない戦いをしていた。
チームはリベルタドーレス杯以降、主力4人が移籍したらしいが、堅実さと精神性の高さを武器に実効性のあるゲームができたと思う。
■崩壊するクラブのパターンとインテルの成功
ブラジルのクラブチームも、日本のどこかのチームと同様に”場当たり的補強”や目先の”監督交代”を続け、結果として財政的に立ち行かなくなるパターンが多いらしい。
給料遅配などもよく聞く話だ。
しかし。
世界一になったインテルナシオナルは、若手育成と下部組織の充実に力を入れていると聞く。
何百倍も給与をもらっている相手に、颯爽と立ち向かうアレシャンドレなどを見ると胸のすく思いである。
クラブ幹部が長期ビジョンをしっかりと組み立て、辛抱強く選手を育成引き立てていくこと。
熱いサポーターが見守る中、その希望に溢れた若者たちとベテランとの融合が横浜国際のインテルナシオナルにあった。
それにしても試合後の年配のインテルサポのこの世のものとは思えないような歓喜の姿。
こぼれんばかりの笑顔。溢れる涙。声にならない叫び。狂ったように飛び跳ねる女性。顔を崩しながらスレちがう全ての日本人に感謝の握手を交わすおじいさん。
人生の艱難辛苦の末にあるこちら側だけに許された人生最上の喜び。