「クラブ改革は可能か」その3.

■戦いに悔いなし
地元クラブを見ると、今年はまさに激動ともいってよい一年だった。
昨年5年ぶりのJ1復帰を果たし、アビスパのサッカーで「どこまで通用するのか」本当に楽しみに迎えた1年だった。
「約束」のFW補強は未だしも宮崎キャンプでは若い選手や新たに加入した選手たちの溌剌とした動きを見て期待は大きくふくらんだ。
結果としては様々な要因で1年で降格したわけだが、個々の選手たちは持てる力を発揮し精一杯戦ったように思う。
今季を振り返ってみると、ゲームに出場できた選手に関してはやるだけのことはやったという満足感はあると思う。
特に入れ替え戦の最後の20分の選手たちの戦いっぷりは、後世に残るだけのものといっても良いほどである。
1年でJ2に舞い戻ったが、降格の責任は選手たちにはない。
今回何人かの主力選手達が已む無く抜けていくと思うが、彼らのことは温かい気持ちで送り出したいと思う。
■降格の責任
川勝氏もチームの戦力分析や個々の選手たちの特徴を掌握するのに時間がかかり過ぎ気の毒なところもあったが。戦力弱小のチームを持ち直し飛躍させる能力はなかった。
就任以来11試合連続勝利なしの状態の時には同情もしたが、残念ながら戦術的にもアビスパというチームには不向きの指揮官であった。
しかも在任中はメディアとの関係等は最後まで最悪の状態が続いたと聞く。基本的にはTV画面の中だけの人だったのだろう。
今季の最大の問題点は成すべき仕事を放り投げ、場当たり的補強で貴重な資金を無駄遣いし、松田氏を解任し川勝氏を人選した人物であることに間違いはないが、しかし誰が何を言おうと今季の迷走の責任も降格の責任もすべてフロント幹部にある。
■PDCA
推進力を備えた世の中の事業者は、「PDCAマネージメント」を普通に身につけている。
しかし残念ながらアビスパ福岡は、そのP(計画)D(実行)C(チェック・評価)A(対策・推進)に則って事業を推進しているようには全く見えない。
P:将来を見据えて主体性を持って事業を計画する。
C:行動し実践したことに対してその都度チェック・評価をする。
の二つがこれまでは見事に欠落しているままだ。
しかし、今まで決断力のない(当事者意識のない課題から逃げているばかりだった)クラブの幹部ばかりにあって、色々と批判はあってもサッカー素人ながら今回の社長は自らは決断力を持ち主体となって動こうとされているようには見える。
松田解任の時のように(追放した長谷川氏と町田氏の巧妙なヤリ口に丸め込まれ)サッカー素人の社長を裸の王様状態で利用するのか。危機感を持ってクラブ全体が一体となってクラブ改革を行うのか。
アビスパ福岡というクラブは今岐路に立っているように感じる。
ただ単に外から見ているだけであるが、現場の方々が真面目に実直に仕事をされようとしているだけに幹部たちの姿勢は厳しくチェックしていかなければならない。
この先良いクラブチームに向かうのか、それともこのまま崩壊の道を歩くのか、体質改善中の現状こそその分水嶺であろう。
■指し示すベクトル

アビスパのチームカラーはこれです!」
「チームのビジョンはこれです!」
そういえるだけの主体性ある行動、そして主体性ある幹部。
また、
この招いた結果については「こういう風に総括し、評価します」
と緊張感を持ってチェック機能が働くような他クラブ並みの組織や幹部に一日も早くなるように祈りたい。

シーズン半ばからサポーターが少しづつ変化を見せてきているように、結果はともかく次第にクラブの組織も変わりつつはあるとは思う。
いずれにしてもサポーターは戦跡(結果)だけを見ているのではない。また結果や現象に一喜一憂することなく、すべてを自らに「納得して」見つめたいと思っているだけである。