反町氏の限界

■素材を生かしきれない。
KKウィングは14,007人。U−22アメリカ代表との対戦。
お昼は温かな小春日和のようなお天気であったが、流石に夜になるにつれて冷え込んだ。

              平山        ↑
   ←李→       ←カレン
              ↓

本田圭        ↑     水野
 ↓  ←本田拓→  梶山→   ↓
  ↓               ↓

    水本  伊野波  青山

         
                 松井

控えも含め、メンバー的に見れば、その長所さえ生かせば躍動感あふれるゲームになるはずであった。しかしスタンドが沸いたのはたったの3度。北京五輪第二次予選を前にして、未来を感じるゲームにはならなかった。
反町氏の意図が徹底されていないのか、それとも細かい指示をしていないのか。現地で観戦してもリスクを追わないゲーム運びにいささかうんざりしてしまった。
■適応能力
さて。
反町氏はフル代表のコーチをしながら何を学んでいるのか。
平山に当てるだけの単調な攻撃に終始し、確かに米国代表のプレスはきつかったが後半は押されっぱなしを放置した。序盤以外は中盤にスペースを空けることがかなわなかった。
残念ながら、DFラインからの前線へのパス回しは見られず、ポジションチェンジの流動性も、ワンツーでの崩しも、稀代のプレーヤーである水野と本田を生かしたサイド攻撃も、後ろからの縦への突破もなく、特に後半は戦術的な工夫が全く見られなかった。いかにも流動性に欠けた3トップシステム。
何よりこのチームには本田圭介や水野という攻撃に秀でた才能を得てる。にも関わらず両サイドを一度もえぐることなく本田は苦手な守備に追われていた。
それもほとんど競り負けていたが。
今日の本田圭介は一度のFKだけで、ほとんどを5バックの一員となって輝きを見せなかった。
期待しているだけに反町氏にはしばらく厳しい見方を続けていきたい。果たして反町氏はベンチでホワイトボードとにらめっこしている以外に何をしていたのだろうか。
このメンバーなら後半からでも4バックにし、右SBに内田篤人を置き水野と二人で厚みのある攻撃をさせた方が少しは相手を引かせることができたであろうと思うし、2トップにし中盤を厚くした上で両サイドからの侵入をしやすくしても良かった。
■粒揃いの選手たち
私にはアテネで惨敗した山本氏の方が(継続性はないものの)少しは素材を生かす工夫をしていたように見えた。
このチームはアテネ五輪にオランダから小野を召集したようなオーバー世代の召集は不要なほど素晴らしい素材が揃っている。
オシムさんが無理であるなら、叶うならば欧州のプロの(本物の)コーチにこのチームを任せてみたいと思うのは私だけではないだろう。
今日のMOMは、カレン・ロバート。一段と成長を見せる彼のスピードと運動性は良かった。
DFでは青山。彼の身体能力は抜けているし米国選手に負けていなかった。
■米国戦、参考エントリー

ガゼッタさん:「反町さん、どうすんのこれ?」

ケット・シーさん:「DFラインからのロングボールを3トップに渡して、後は3人で、というようなプレーが多かった。」

講釈師武藤さん:「何故問題を難しくするのか」

缶詰にしんさん:「五輪予選に向かうチームに、大きな課題が提示されました。」

エルゲラさん:「最終予選はちょっと心配になってしまうような試合ではありました。」

省吾さん:「日本で戦っているというホームアドバンテージの欠片も無い試合になってしまった。

武藤さんの以下の明確な文章で、このゲームについてのエントリーを締めくくりたい。
アルビレックスでは常に戦闘能力の低い選手達をいかに戦わせるか、その創意工夫が反町氏の仕事だった。だから、敵の良さを小さくする事が反町氏の仕事だった。そして、その結果は実に見事なものだった。今の反町氏の仕事は違う。己の良さを最大限に発揮する事なのだ。』