運営能力

アビスパ福岡の定時株主総会が開催された。
■人事面
退任された池下さんの代わりに福岡市より福本氏が出向し常務として就任、調査役を務めることとなった。
人事面から見ると、福本氏には(池下さんと違い)代表取締役の肩書きがついていないので経営権は完全に都筑氏が掌握することとなった。
吉田市長が送り込んだ福本氏のクラブ経営手腕は未知数であるが、この1本化が独裁政治の始まりとなるのか正常で民主的な運営となるのかかわからない。都筑氏は出向社長ではないので体制的に見れば非常に危うい体制になったことは間違いない。
■財務面
アビスパ福岡は、5年ぶりに復帰したJ1を1年で無残にも降格した。
その年度の決算は下記の通りであるが。
累積損失を32億円の減資によって償却した年度に、1億を越える赤字を出したのは大きな経営責任を問うべき事態である。
資本金9千万円程度の民間企業であれば銀行取引停止(倒産)の可能性を孕む。

前々年・17年度決算(17年2月1日〜18年1月31日)
 営業収益          1,219百万円   
  営業費用          1,242百万円    
  営業損失             23百万円    
  経常損失             18百万円   
  当期純損失          20百万円   
  前期迄の累積損失  3,097百万円   
  当期未処理損失    3,117百万円   
前年・18年度決算(18年2月1日〜19年1月31日):
 営業収入          1,575百万円 
 営業費用          1,683百万円 
 営業損失            107百万円  
 経常損失            116百万円 
 当期純損失          117百万円 

詳細はまだ明らかではないが、従来からアビスパの営業収入は、広告料収入の割合が非常に多いクラブである。つまりコカコーラ社、九州電力、福岡市の3大スポンサーへの”依存し過ぎ”の歪んだクラブ経営がこのクラブをいつまでも改革・進歩させていない。
地域に根ざした市民クラブとしての草の根の発想こそ求められるが、残念ながら体制的にも人材能力が大きく不足している。
昨秋からこの2月迄、個人的にソフトバンクホークスマーケティング担当と何度か面談した。アビスパ福岡の営業上の一番の欠点はプロスポーツとしてのマーケティングを皆目理解してないことにある。彼らに言わせるとアビスパは同じ地域のプロスポーツクラブとして余りに稚拙と。
○営業収入
収入面で努力すべきは入場料収入であるが、それに必要な営業力を抱えていない。この点、実務的に広報と営業ができる有能な人材が不足していることはトップも認めているところである。なんとかプロパーの若手の育成を待ちたいところ。
今年度はクラブ創立12周年。またリティ効果や北京世代の活躍でJ1復帰への道を切り開き、それらをうまく活かし営業収入の糧にすることが期待できる。うまく活かせるかどうかはクラブフロントの手腕にかかっている。
○営業費用
昨年度の赤字の要因は、間違いなく無駄な支出による。
元凶は、チーム統括の強化方針なき場当たり的無駄遣いである。予期するに、チーム統括が長谷川氏でなければ間違いなく黒字計上できたであろう。
しかしそれを黙認し庇護続けた当時の運営本部長こそ悪魔の使いであった。手練手管の長谷川氏が運営副本部長として就任した当時の運営本部長、副本部長は現在は役職を追放されている。
昨年までのクラブは、出向幹部(代表取締役2名)の下に狸と狐を抱える悪魔が潜んでいた。
そしてアビスパ福岡は、高い授業料とともにJ1カテゴリーも失ってしまった。
■存続の危機
サポーターはゲームを観戦しチームの選手たちに声援を送る。愛情を持って。
しかしなんとも後押しするべきチームを運営する体制は、余りに脆弱である。
今季小林氏をチーム強化責任に招き、ユースを含め大瓦解したチーム体制を再建しようと努力しているが、財政的な後押しが続かなければそれも息切れするのは目に見えている。
博多の森雁の巣へ出向くサポーターやファンにはオモテ向きはそうは見えないが、決算報告を見る限りクラブ存続の危機は続いている。