若手の台頭

[J1第10節、大分ー広島]:5月6日、九石ドーム
地元チームが1節休みの為と所要もあり大分へ出かけた。
九石ドームは流石に子供さん(家族連れ)が非常に多く、また博多の森ではそれほど見かけないご年配のサポーターがレプリカ着て首にタオルマフラー巻いて数多く観戦に来ていた。
この地で広い年齢層のサポーターを温かく迎える雰囲気はまるでイベント会場やテーマパークの様である。
■守備的に入る

ゲームは序盤から大分が守備的に入り、広島は佐藤とウェズレイ目がけてボールを当てる。最初は駒野に注目しながら見ていたが、大分はサイドに穴を開けることなく守備面では互いの連携が取れ駒野側(大分から見て左サイド)には蓋をしていた。
ずっとチームを見ている訳ではないのでいずれも印象論でしかないが、大分は戦力的に不揃いの印象で中盤からの展開力がなくサイドからの攻めも速さを感じなかった。
どちらかといえば広島の2トップのケア・マークに懸命で攻撃面では工夫が余り見られなかった。

青山敏弘の機転

それにしても広島には楽しみな素材が多い。
柏木しかり青山しかり。前半の得点はその青山敏弘からの機転の利いた動きからだった。それまでは大分のバイタルエリアにスペースを空けないように活動していた青山が、突然前進してきた。彼の足元にボールが納まると前進抜け出しながら瞬間目の覚めるようなミドルシュートを放つ。
余り調子がよさそうに見えないGK西川周作は前に弾くしかなかった。
どちらも将来の日本を背負って立つだろう二人の対決からゲームが動き、初得点が生まれた。
そして西川が弾くしかなかったボールに目ざとく反応した佐藤寿人の得点で広島がリードすることになった。
寿人の今季7ゴール目の80%は青山の機転によるもの。それに限らず青山のハードワークを厭わない肉体と運動量は非常に魅力的に映った。

■J初ゴール!

大分は高松に当てる以外にこれといった攻め手を見出せず、前線の運動量も少なくリスクを冒したプレーは無かった。
大分が得点するにはセットプレーからしかないように思えた。
しかし後半、FW松橋優に山崎、10分過ぎに上本に金崎が入って大分のリズムが良くなった。セットプレーからの金崎のJ初ゴールは見事なヘディングシュートから。1−1の同点になり俄然ゲームが面白くなった。
大分の選手たちの動きも良くなり、そうなると固そうに見えた広島のバイタルエリアが空き始めた。選手の動きがピッチ上を流動化させる。

■流れを止める主審

このゲームの主審は長田和久氏だった。
長田氏は48歳。J1、J2を計100ゲーム以上吹き岡田氏、片山氏らとほぼ同世代のベテラン審判であるがどちらかとえいば副審を務める機会も多い。
長田氏は以前から笛を吹きたがり、プレーをスグに止め勝ちな主審である。この日も同様であったが。
この長田氏がウェズレイの見事なトリックに引っかかった。スタジアムで見る限りにおいてはPKも已む無しもシーンであったが。問題なのはその先。
あろうことか後半34分に人違いで藤田に2枚目のイエローを差し出し退場に追いやってしまう。ウェズレイは簡単にPKを決める。
これでゲームは終焉することとなった。
現場では何がなんだかの混乱の為3分程ゲームが中断した。混乱を招いたのは毅然としないマッチコミッショナーと長田氏の未熟な処置による。長田氏は安静にし少し休ませた方が良い。
大分もリズムがよくなりかけた時であったので。できれば11人のまま最後までゲームをやらせたかった。

■朋有りて
それにしても大分は潜在能力に優れた若い選手が次々と出現する。
広島の柏木や青山だけでなく、この日は福大のFW高橋の成長やJ初ゴールを決めた金崎の活躍を目のあたりにし観戦の価値があるゲームとなった。
大分の温かいサッカー仲間である友人との観戦同席は楽しくもあった。