「日本サッカーの父」2.
■Pass and Go!
「クラマーさんの指導は、私にとって驚きの連続だった。ひとつはクラマーさんが卓越した技術を持っていたこと。*1ふたつ目は理路整然とした理論で我々を導いたこと。そして最大の驚きは選手に対する愛情と情熱だった。慣れない日本で、平然と我々と同じ日本食を食べ、旅館に泊まりこみ、自分の全てを投げ打って指導してくれた。」(松本育夫著「天命」より)
「その取り組み方は、仕事として契約を交わしたからやっているという域を完全に超えていた。日本代表のために、そして私たち選手のために全ての愛情を注いでくれた。夜中にこっそりと選手の部屋を見て回り、(ベッドから)落ちている毛布を選手の体に掛け直す姿を目撃したときには、鳥肌が立つほど感激したことを覚えている。」(同じく)
Look before = Think before 前もって見る、前もって考える Meet the ball 長距離を走ってボールをもらいに行く Pass and Go パスを出したら、すぐに空いたスペースに行く (同じく)
オシムの指導も考えるサッカー、走るサッカーと言っているが、クラマーさんの言葉は47年後の今でも変わらぬサッカーの原理原則である。
■クラマーチルドレン
5月20日、午後1時から始まった講演会とパネルディスカッションには日本サッカー協会の釜本邦茂副会長*2はじめ、長沼健協会元会長*3、前会長の岡野俊一郎氏*4、平木隆三氏*5、杉山隆一氏*6、宮本征勝夫人*7らが参加。
6名はクラマー氏らとともに第一回サッカー殿堂に選出されている。他に松本育夫氏*8、賀川浩氏*9らもお越しになっていました。
ゲストの釜本氏以外はクラマー氏を慕っていずれも自費参加と聞いていますが、会場はさながら日本サッカーミュージアムでした。
*クラマーさん「来場記念セレモニー」の模様はこちら。
*クラマーさんを迎えての「サポーターミーティング」の模様はこちら。
*1:パネルディスカッションの際も紹介されていたが、クラマーさんの自宅にはトレーニングルームがあり、80歳を越えた今でも毎日トレーニングを欠かさないという。
*3:長沼健氏=元古河電工FW、古河時代は八重樫、宮本、川淵、木之本、清雲、岡田氏らが”長沼一家”、日本代表監督
*4:岡野俊一郎氏=クラマー氏のかっての通訳、日本代表コーチ、70年〜日本代表監督
*5:平木隆三氏=元古河電工・フルバック、名古屋グランパス初代監督
*6:杉山隆一氏=元三菱重工・左ウィング、磐田スーパーバイザー
*8:松本育夫氏=東洋工業・ウィング、メキシコ五輪では川淵氏から右ウィングのポジションを奪う、JSL時代には小城、石井、今西らと不滅の4連覇、川崎、鳥栖監督
*9:賀川浩氏=戦時は特攻隊員、現役最年長サッカーライター、クラマー氏とは同年齢の82歳、国際大会は1958年アジア大会から50年近く見続けている