3分の1を終えて

■失ったセンターライン
現在のチームは昨年までのGK水谷、両センターバック千代反田、金古、ボランチホベルトが不在で、つまりセンターラインである屋台骨なしに新シーズンをスタートしました。
チームが安定しないのはその点からもある程度覚悟はしていたのですが、それにしてもこの3連敗中の失点数は予想を超えていました。
山あり谷ありのゲームの、谷のゲームをできればなんとか凌ぎ切りたいところですが、凌ぎ切るには守備面での整備がいつまでも未成熟で、ここ数試合は前節の反省・対策も見えません。
それと現在のゲーム運びはどうしてもDFラインに加重な負担をかけてしまいます。失ったセンターラインの再構築は時間を要することですが。
■研究されたアレックス対策
息詰まりの最大の要因は序盤活躍したアレックスへの相手チームからのプレッシャーでしょうか。「攻めることで守る」というリティサッカーから見ればその点が誤算かと思います。
京都戦も鳥栖戦も同様でしたがアレックスさえ止めておけば何とかなる、というのが最近の相手チームの戦い方のように見えます。
前を向いてこそ初めて自分のプレーができるアレックスが、このところ後ろや横を向く機会が増えています。
研究される前のアレックスは中央トップ下を中心にフリーマンでチャンスを作っていました。
しかしアレックスは本来的にはサイドの方が生きるように思います。
個人的には、1トップの下の適任者は山形恭平か久永しかいないと思っていますが。ベストチョイスはボールをキープできる技術を持ちファウルを貰うのがうまい久永でしょうか。
■両サイドバック
チェッコリの怪我で最近は左サイドバックに久永が使われるようになり若干形態は変わってきたように思いますが。今シーズンはリティの強力な指示で両サイドが上がる機会が余りに少なく、もったいなくも(余剰に)4人のセンターバックを並べているように感じて戦ってきました。
このあたりは守備コーチとリティの方向性が全然噛み合っていないようにも思います。普通であれば、左が上がれば左側のボランチがライン沿いをケアし、同時に右サイドが中に絞り込むといった守備的な連動をする筈ですが、残念ながらずっとそうではありません。センターバック二人にその分のしわ寄せとプレッシャーがかかりミスも多くなっているように見受けます。
リティのやり方を固守するなら長野、川島、柳楽の3バックを取った方が中盤を厚くできるので良さそうに思います。前半3バックからゲームをスタートし後半に4バックに戻すのは簡単です。
それとディフェンス陣は自信を失っていますので、開幕から全試合フル出場の、リティお気に入りの川島を1試合休ませリフレッシュさせることも検討すべきかも知れません。
■遅い、攻撃への切り替え
プレイスタート時の今のビルトアップのやり方は理解できますが、いつでも、どんな相手でもスローな攻め上がりは相手チームに守りの時間を許してしまいます。
前線に技術の優れた選手がいない訳ですしむしろスピード抜群の田中佑昌がいるのですから、タマには高速カウンターも仕掛けるべきでしょう。
後半に失点を挽回するべく、前線に長野を入れ実効性のない無駄なタテポンするくらいなら、1試合に3度位はカウンターも仕掛けるべきかと思います。
あのタテポンで得点の気配さえ感じれないのはベンチにも伝わっている筈です。
ミドルシュートの無さも相手チームに守り易さを与えていますが、現在は攻め手が”緩”ばかりで、緩急をつけたリズムが欠けているように思います。
いずれにしても選手のスキルアップを目指しながら戦うリティサッカーの熟成はもう少し時間がかかるものと思います。
■攻め手の工夫
現在の悪い時のゲーム運びは点から点で終わり、ボールを受けてから次のボールの渡し手を捜している場面が多くあります。
またリズムが悪い時は3人目の運動もありません。不思議なことに相手ボール時には激しく運動していても、自陣ボール時の運動量は極端に落ちます。前線が動かないからスペースも作り出せません。選手は動かさずにボールだけを動かすというサッカーも興味深くはありますが時には80年代以前のサッカーを見ているようです。
自陣ボール時にボールを失いたくないのがリティの指示でしょうが、攻め手の工夫の少なさと併せ、その点余りにリスクを負いなさ過ぎのように思います。
■諦めるのはまだ早い。
過酷な長丁場のJ2は前節の16節を終え3分の1を通過したところ。
前半戦のヤマ場は16節(鳥栖)17節(東京V)18節(札幌)の3戦が重要であることは間違いないところですが。残念ながらアビスパ福岡東京ヴェルディに敗れ、1節休み明けの15節からの3試合を10失点し3連敗となりました。
次節ホームの札幌戦は4連敗は許されないリティにとっても試金石のゲームとなるでしょう。
そして、第1ステージ首位の時期からやや飢餓感を失いつつあったサポーターも試されるゲームとなるように思われます。
サポーターミーティングでクラマーさんが仰ったように、チームが自信を失いつつあるこの時こそ、背中を押すサポーターの一体となった声援が何より必要に思います。
諦めるのはまだ全然早いのですから。
ヴェルディ戦のゲームの流れはこちら
写真館にクラマーさん来日記念の懇親会の模様をアップしました。