第2ステージを振り返る

長いJ2リーグも、48試合のうちの24試合を消化しようやく半分。

J2は札幌が勝ち点51と前半戦を大きくリードした。次に勝ち点45の京都がその得点力で追い上げ、勝ち点44の仙台も安定し追走している。
福岡は第2ステージ序盤の4連敗で躓き、第1ステージ首位の余力を使い果たした。
前半戦を終了しようやくの勝ち点40で順位は4位。首位札幌とは勝ち点差で11、2位京都には勝ち点差5の差がある。

福岡が1年でJ1復帰する為には悲観も楽観もできない位置である。
この第2ステージの中頃からリトバルスキーが現実的な選択を少しづつするようになってきたが、それでもチームは布部、久藤、久永の3人のベテラン選手の調整力と対応力でなんとか持ち堪えてここまできたと言える。
最も重要な夏場の第3ステージに向けて考える前に、福岡視点で第2ステージを振り返ってみたい。
■頑固なリティ

[07年前半戦の福岡の戦績]
      勝点  試合  勝  分   敗   得点   失   得失差
1ステージ  24   12    7    3    2    23     9   +14
2ステージ 16  12    5    1    6    15    17     - 2
合 計   40    24   12    4    8    38    26     +12

5勝1分6敗の福岡の躓(ツマヅ)きは、守備面での崩壊にある。
特に前半と後半の戦いがうって変わり、ハーフタイムを過ぎると別チームのように守備的な不安定さがチームの欠点となって現れ結果も出せなくなってしまった。
それでもリティは欠点を修正することなく、強いチームへの苦しい道程として自ら攻撃的なチーム作りを継続しその姿勢を頑固に変えなかった。
またリティの要求に応えるだけの選手が一部のベテランだけで、若手たちがその高い要求についてこれずチームはバランスを崩し大きな問題となった。
チームの体制面で、リティを補佐・サポートすべきフロントや日本人コーチたちに幾つかの問題があるのは明らかであるが、リティの現実的な対応性にも問題を抱えている。
チームを構成する上部構造たちが第2ステージを振り返り、戦い方と戦力総括をするのは当然であるが、まずはフロントとリティが中間査定をしつつ率直に話し合うべきであろう。
それでも前半戦は3人のベテランたちの見事な奮闘と、特に若手の田中佑昌の飛躍的な成長や山形辰徳スキルアップが見られた。

[05年第2クール時点戦績]
         勝点  試合  勝  分   敗   得点   失    得失差
第1クール   18   11    4    6    1    15     8     + 7 
第2クール   18   11    5    3    3    16    14     + 2
合 計   36   22    9    9    4    31    22     + 9 

4試合少ない05年と比較すると、目につくのは得点力の向上と、引き分けゲームが少なくなった点。
しかし今季は、下位のチームには完勝するものの同レベル以上のチームには全く結果を出せず、今後も今までの戦績のような状態では、J1復帰という現実目標は夢の如く霧散するように思う。
リティの就任により今季のチームの戦い方は大きく変わったが、J1復帰の為の課題は非常に多い。
センターバック長野聡の成長

[上位5チーム最近5試合の戦績]
    22節  23節   24節   25節   26節
札幌 △徳島1-1 ○東V1-0 △草津2-2  ー     △山形1-1
京都 ○仙台5-1 ○水戸2-1 ○湘南4-2 ○徳島4-0 △C大1-1
仙台 ●京都1-5 ○愛媛3-0 ○水戸3-1 ○C大1-0   −
福岡 ○草津2-0 ○山形2-1 △愛媛0-0 ○水戸3-0 ○湘南2-0
東V   ー   ●札幌0-1 ○C大2-0 ○鳥栖3-1 ○水戸1-0

上位5チームのうち、ここ5試合負けなしで合計16得点(平均3.2点)の京都の得点力が目につくが、福岡はここ5試合失点1で守備力がようやく戻ってきた。
蒸し暑い時期に入り、一度も悪い波がこなかった札幌もこれからが胸突き八丁の苦しい時期になる。
福岡は18節以降から長野聡センターバックに入るようになったが、これからの9試合で1試合平均0.7失点と守備陣の不安定さがなくなってきている。
千代反田と金古が抜け、CBという専門職が駒としても少なくなった現在、長野を中心に守備陣を熟成させることが長いリーグを制覇する道といえようか。
長野が「チームの守備の要として今季使われなければならない」とシーズン前から期待してきた者としては、ここ数試合でチームの布陣がようやく正常化しつつあるといえる。