北斗のこと

中村北斗選手は3日間の予定を繰り上げ、19日の昨夕、入院先の病院を退院しました。
内視鏡手術は立派に成功したとかで、今シーズン後に抜く予定であった前十字靱帯損傷手術の際に埋めていたボルトも今回の手術で抜いたそうです。
北斗はキラキラと力のある瞳を真っ直ぐに向けながら力強く語ってくれました。

「大丈夫です!」
何度も何度も自分に言い聞かせるように繰り返しながら。
右膝前十字靱帯損傷による7ヶ月のリハリビの後、実は右足の状態は100%ではなかったようで。
「右足前の筋肉は100%ですが、後ろ側は80%程度の状態」だったとか。

重なる右足の怪我とアスリートとしての精神的負荷は、誰より本人が残念なことだったと胸が痛みます。
今回の半月板損傷の怪我による前十字靱帯への直接的な影響はなかったことが何よりのことでした。
完璧でなかった右足全体のアンバランスはこれからのリハリビで修復していくのでしょう。
今回は、たまたま知人の入院の見舞いのついでに病院関係者に確かめた上で、本人への見舞いが実現しましたが、預かったサポーターからの多くのメッセージを大変喜んでいました。
■チームサポートと配慮
それにしても。

あの大怪我から8ヶ月ぶりだったでしょうか。
久しぶりの復帰戦となった湘南戦は、後半ゲーム終了前の10分にも満たない僅かな時間の出場でした。
ゲーム後にゴール裏のサポーターに挨拶に向かう北斗はとてもキツそうで、真っ直ぐ立つことさえままならず。
右手をスタジアム看板に置いてどうにか支えていました。
「もの凄くキツかった・・」「ゲーム中の半分の時間は感覚がなかった」
そして札幌戦を経て仙台戦。
「先発がサイドバックでなければ怪我はしてなかったかもしれません」
「ゲームに入ってスグの、ディフェンスの為に亨や聡のサポートをする動きの時に痛めていたように思います。」

北斗は実践課程で紅白戦を一度もやらなかったと聞きます。
他のチームであれば長期離脱の選手はしばらく紅白戦やサテのゲーム等で調子を上げていくわけですが。
本人の「プロ意識」と個人的な準備を問う前に、これはどうしても書いておきたいことですが。
右足全体のバランス。右足と左足のバランス。横や後ろへの運動と踏ん張り。
「前十字靱帯損傷」という大変に”微妙な大怪我”とその手術の後の長期リハリビ中の選手に対して、そういった配慮さえせずにいきなりのリーグ戦への実践過程は、このチームの無防備で無計画な選手起用に大きな問題を残すことになったように思います。
■選手は消耗品か

「これから選手生活は長いのだし、もうアセらなくていいですよ。」
「ずっと先になっても、博多の森でみんな待ってるから。」
「北斗は博多の街の人の希望なんだし、子供たちの夢なんだから」
「怪我なんかに負けないで!」
同行した友人と二人で、北斗の手を強く握りながら伝えました。

怪我をしたことは仕方のないことだし、過ぎた時間は戻りません。
過去のことをとやかくいうより前を向いて本人を励ますことが確かに大切なことでしょう。
しかしあきれるほどのこのクラブの素人たちの組織運営の大きな欠如と無計画さ。その選手扱い。
誰が指揮官であっても、どういうチーム成績であったとしても。しっかりした体制でクラブ運営やチーム運営や選手へのケアを行って欲しいものです。
中村北斗アビスパ福岡の希望であり、日本サッカー界の若い宝といってもいい素材です。
チームの消耗品や使い捨ての選手ではありません。