準決勝敗退

■リアリズムサッカー対オシムサッカー
サウジアラビアは非常に現実的な戦いをしました。
日本をよく研究し日本の選手達にあえてボールを持たせるもののシュートコースを完全に塞ぎ、ゴール前では徹底して守り切ろうとしました。
TV画面では、日本の得点チャンスは中村健剛のミドルとセットプレー以外にはないように思いました。
それとシュート数の少なさは日本のリスクチャレンジの無さでもありますが、高いポゼッション率の中、遠藤と中村俊輔は”美しい”サイドチェンジばかりに集中していたように見えました。
またこのチームのメンバーには相手チームのディフェンスを剥ぎ取ろうという動きのできる(自らの動きでスペースメイクが可能な)選手が先発を張れる選手がいませんでした。(羽生はいたが)例えばヤナギ、モリシタイプ。
併せてドリブルでリスクチャレンジのできる選手も選びませんでした。例えば松井、大久保、田中達也。若手の梅崎タイプ。
これは今にして思えばになりますが、オシムさんが磐田の前田を選ばなかった事を非常に残念に思います。
高原は猛烈に疲れていたようだし、巻は汗をかいたが点で合わせるしかない。交代で入った佐藤寿人や矢野ではこのゲームのようにスペースがない場面ではなかなか仕事ができないタイプです。
オシムさんはそれでも彼らをこの大会で経験させたかったのでしょう。

サウジアラビアの素早いカウンターは、このゲームの日本代表になかったものですが攻守の切り替えがとても早かった。
■5試合連続のハノイ
この大会は4ケ国の分散大会です。
運良く日本代表は準決勝までの5試合を同じハノイでゲームを行えました。
しかし現地のジャーナリストの情報によると、オシムさんは連日休養なしにハードなトレーニングを行ったということです。しかもハノイは他のどの開催地域よりも高温で多湿の地区であるらしい。
6大会連続?決勝に進出しているものの2大会続けて優勝から遠ざかっているサウジアラビアは、初めから「優勝狙い!」で国をあげて準備万端取り組み、打倒!日本でやってきた。
しかし日本は、何がなんでも「優勝」という事よりもWCの準備の為とオシムサッカーの熟成の為に今大会に取り組んできたように思えます。
もちろんこれは結果論でしかありませんが。
■オーストラリアとの因縁
この大会はオーストラリアに勝つためにあったのかも知れない。
あれでひとつの達成感と安堵感が出たのだろうと思います。
オシムさんはジーコとは違う戦いを見せ、俊輔や中澤らはドイツでのリベンジを果たした。
韓国は日本との対戦(3位決定戦)を因縁にし、いつものようにモチベーションを高めるでしょう。
日本はオーストラリアとの対戦を大一番とみなした。
3位決定戦は韓国との対戦ですが、総替えすればフレッシュな選手たちが良いサッカーをしそうに思います。
決勝はどうあってもイラクに頑張って欲しい。
■まとめ役不在
前にも書きましたが、このチームにはチームをまとめきれる選手がいない。
控えでは坪井が随分と気を使ったようですが。レギュラーでは唯一中澤だけがその役に相応しいかも知れませんが、彼はキャラ的に違う。
オシムジャパンはこの大会を通してチームの持つ一体感は高揚しましたが、真に全体を取り仕切るキャプテンが不在でした。
チームを落ち着かせ、全体に目配りし主審ともやり取りできるゲームキャプテンは世界中をどこを見渡しても小野伸二以外には思い至りません。
宮本以外の選手では。
伸二にはチーム内で早く調子を戻して欲しいものです。