4年ぶりのカメルーン戦

■力の差は歴然
カメルーン代表チームは他の親善試合の相手チーム同様、長距離遠征の疲労と8時間の時差の影響で、前半はチームとしての連携も個々の動きも今ひとつであった。
しかし「アフリカネイションズカップの残り1試合に向けた調整」とニョンガ監督が言うように、チームとしての戦術理解度は高いように感じられた。
時折見せる局面打開や、身体能力を生かしたスキルの高さは、日本チーム(アジアのチーム)にはないものだった。

主に、欧州サッカー強国であるフランスやスペインまたイングランドでプレーする選手たちの、逆サイドへのパススピードとミドルパスの速さはいずれもワールドクラスであった。
彼らのフィジカルが万全であれば、とてもとても無失点では終わらなかっただろう。
エトーがいたせいもあるが4年前のカメルーン代表よりも今回のチームが一層強く感じた。

4年前の11月。
同じビッグアイで両チームは対戦したが、カメルーン代表チームにエトーは不参加で中心選手だったソングもピッチに立たなかった。
現地観戦した当時のメモを見ると。日本は中盤に中田英小野伸二、稲本らを召集。2トップは高原と柳沢が先発し、中でもボランチに入った小野伸二の守備意識の高さと先発した藤田俊哉の豊富な運動量と攻守に亘る活躍で、0−0のドローで終わった。

■3トップ
日本は、前半25分セットプレーから遠藤のFKを闘莉王がヘディングで決め、後半44分CKからのこぼれ玉を山瀬功治が決めた。しかしいずれも流れの中からの得点ではなかった。
だが前半の前田遼一田中達也大久保嘉人の3トップには大きな魅力を感じた。
中でも前田のポジショニングの良さと彼らしい決め手を持つ動きは、切れ味のある田中達也と合っており何試合かやって熟成させたい気がした。
これにフランスで活躍する松井を組み合わせれば日本の大きな強みになるように思う。
アジア杯で取り組んだ4−4−2が中村俊輔バージョンに過ぎなかったのは当然としても、現時点ではオシムさんのチームは後ろに阿部勇樹や中澤らフィードに優れた選手もおり3トップの方が未来を感じるし良いように思う。
前半のカメルーン守備陣は、翼をワイドに張った日本の攻撃陣に対して非常に守りにくそうであった。
後半は、攻めのスィッチの入ったカメルーンの攻勢で右の加地が上がれず、駒野は足を痛めベンチに下がった為、日本は2トップを中心に中央寄りの非常に”幅の狭い”攻撃を行った。
これによってカメルーンの守備陣にうまく挟み込まれチャンスらしいチャンスを作れなかった。
■レッズトライアングル
このゲームの、ゲーム開始のホイッスルを聞いた瞬間、自分の中には1年前の国立競技場で観戦したオシムジャパンの船出の時に感じた感情が再び湧き起こった。
しかしあの時に比べると守備陣の安定度は群を抜いている。
中でも闘莉王阿部勇樹鈴木啓太のレッズトライアングルの綿密で強固な連携はチームに落ち着きを与え、3人の微細にわたる連携はスタンドで見ていてとても見応えがあった。
TV画面もボールばかり追うのでなく、あのあたりの”妙”を見せるとこのチームの深さが伝わるものと思う。
例えば、エトーをケアして闘莉王が上がると、阿部がすぐさま最終ラインに下がり、カメルーンの怖いジョブやドゥアラら攻撃陣がペナルティエリアに近づくと啓太が最終ラインの位置まで下がり中澤や闘莉王をカバーしていた。
この3人に中澤を加えた守備陣の安定感はオシムサッカーの基礎を安定あるものにしている。
(ここで一旦切ります。)