ハードワーク

[J2第17節、鳥栖ー福岡]:ベストアメニティスタジアム
現在のクラブの人たちには理解不能なことでしょうが、サポーターにとってダービーに負けることがどれだけ惨め(みじめ)なことか。
「これ以上サポーターを惨めな思いにさせたくない」とでも言うようにサポーターを背中に感じて戦った選手たち。

このゲームの注目点は福岡が個人戦に持ち込んだ戦い方にあると思いますが、勝因は福岡のセンターラインの奮闘ぶりにあったと思います。
■ハードワーク
今やハードワークの”象徴”とも言えるFW大久保。
鳥栖のDFラインを下げ相手チームにコンパクトさを許さなかったのは彼の走りにあると思いますが、大久保はいつでもチームの先頭に立ち続けました。
グリフィス不在でワントップを任され彼は、試合後半ハーフナー・マイクに交代するまでまるで猛犬のように走り続けました。
また、このゲームのMVPは間違いなくセンターハーフのMFタレイでしたが、縦横無尽の働きを見せた彼はチームの危機を察知し献身的な運動量で鳥栖の流れを断ち切りました。
在籍期間が短い彼ですがインタビューでも答えたように、彼もサポーターともにダービーを背負って戦っていたと思います。
そしてこの試合もゲームメーカー久藤が切れ味鋭く伸び伸びとプレーしているように見えたのは、タレイの躍動感あるプレーが背景にありました。

守備崩壊の恐怖心が残る福岡は3DFのマンマークリベロを配置し、まるで前時代的な戦い方でなりふり構わない1対1を仕掛け続けました。だがそれも精神性の高い布部のコーチングがあってのもの。
山形辰徳が前節2ゴールをあげたレオナルドを担当。ルダンと長野聡鳥栖のセンターFW藤田と進境著しいFW谷口を担当しました。その後に控えるキャプテンマークを巻いた指揮・鼓舞ぶりは布部の真骨頂を見た気がします。
■ゲームの流れ
前半風上を選んだ福岡。
これまでJ2で失点数が下から2位(!)の悪い流れを断ち切るには、できれば先制点を奪ってゲームの主導権を取ることにあると思います。
久永のうまいプレーでPKを奪い、先制点を取れたことがチームとサポーターに勢いと精神の安定を与えました。
■上を目指す戦い?
指揮官としては実践的対応力を有さないリトバルスキーですが、取り返しがきかないほどの大きな代償を払ってようやく行き着いた先がマンツーマン。
現実的にそれを継続させるのは余程の選手たちのハードワークが必要なのは間違いありません。そうあって欲しくはありませんが、その行き着く先はベテラン選手の疲弊と怪我のような気がします。
しかし上を目指すにはもう少しチームとしての厚みを持たせないと継続性はないように思います。
例え15チーム中、下から何番目という順位であっても、何事もなかったかのようにフロントのトップもGMもリトバルスキーに全てを放り投げました。もはや結果(トップは「3位で」と明言)が出なければもう監督解任だけでは済まされません。
選手たちもサポーターも2連勝して浮かる者は誰もいません。
リトバルスキーもクルークも不在の中、試合翌日のクールダウンは布部、久藤、久永の3人が笑顔の中心でした。輪の中は昨日の先発組(タレイ、ルダンを除く)と海外遠征帰りの北斗も。
帰りの車中、いつかのようにチームは現場の選手たちに全てを任せた方が良いと思いました。

*写真:クールダウンする選手たち。6月1日、雁ノ巣にて