劇的幕切れ

公私超多忙につき更新がままならない状況ですが。以下、第27節横浜FC戦の雑感を少し。
 それにしてもこの夜の大久保の(2試合連続)決勝ゴールは、スタジアムの誰の魂をも大きく揺さぶるもので。「劇的」とはこのゴールのようなことを言うのでしょう。
きちんとチーム作りする時間もない若い篠田監督にとっては、何よりのホームの2連戦でのスタートになったのではないでしょうか。(加筆しました。)
 指導者としての経験も戦術的な積み重ねも浅い新監督は、チームの一体感と、また選手とサポーターとの一体感を僅か2試合で作り出しました。
■後半20分
 篠田新監督はこの試合も前試合と同様、後半19分(前節も後半20分)に田中佑昌を投入。
蒸し暑い夏場はこの時間帯からが本当の勝負。横浜は、リーグでもトップクラスのスピードを誇る佑昌の動きに翻弄されDFラインを上げれない。
 大久保の運動量と佑昌の速さは現在の福岡の大きな”ウリ”ともいえ、加えてDFラインを統率する宮本亨が勇気を持ってラインを上げ続け、逆サイドに展開しつつピッチを広く使う久藤清一を中心に中盤をコンパクトにすることで前線の速さと連動する。これに、後半から出場した中払大介のキープ力からくるタメがチーム全体に一体感を作り出す。
それによってボールが回りシュートコースやスペースが生まれる。

『横浜は後半に足が止まると読んだので、攻撃ではFWのコンビネーションとサイドからの攻撃を徹底させました。出して動いて角度を取るという単純な動作かも知れませんが、それを徹底させて、守備ではカウンターアタックに対していつも注意を払うように、神山を中心にそこだけはやらせました。』(試合後の篠田監督)

就任してからの2試合、篠田監督の交代策とゲームに向うビジョンは見事というほかはありません。
■取り戻した粘り
 前監督が思いついた「守りを固めるために”守る”」という相手にとって何も怖くない、しかも一つも面白くない臆病なサッカーから見れば、全員が一体となってあくまでも前に出ることで守り守備陣の負担を軽くするという当たり前の戦術。

『戦術も変わって体力的にも少しは楽になったと思います。今日も後半もみんな走れているし、最後まで頑張れたので、その点は良くなっていると思います。』(試合後の久藤選手)

 前半は自分のポジションに行き場を探す若い(期待の)城後の迷いとともにチーム全体が良い内容ではありませんでした。
またヒガシ出身の池元友樹のシュートコースを空けてしまった守り方に課題は残るものの、しかし勝負を賭けた後半。
 足が止まった横浜相手に後半43分に佑昌のゴール、さらにロスタイム終了ギリギリに大久保の決勝ゴールが生まれたのは展開通り(狙い通り)の結末であったといえると思います。

『戦い方が変わったというのもありますけれど、僕自身が感じているのは精神的な部分が大きいですね。前節も、最後まであきらめずに戦おうという気持ちでやって、結果が出て、選手個々に自信がついて、それが今日の試合にもつながっていると思います。』(試合後の布部選手)
『「すべてがいいわけじゃない、まだまだできていないこともあるから浮かれないように」と監督から言われたので、また気を引きしめて次の練習から修正していきたいと思います』(同)

選手同士、指揮官と選手。互いの信頼関係があるからこそ最後まで戦える粘り強さ。
■経営センスとサッカーセンス
 残り15試合。
ようやく勝ち点差がひと桁になったにしても、団子状態でライバルは多い。当たり前の話ですがこれまで失った多くの失点と勝ち点は還らない。ようやくの3連勝でも厳しい状況に変わりはありません。
それにしてもフロントは判断が遅すぎた。有無を言わせない疾風のような人事は得意としてるが、いかんせんその判断にはセンスのかけらもない。
 サッカーを少しでもわかる人間なら4月の時点で適切な「判断」ができたはずであると。今さらながら残念に思います。