戦いの方向

ー  福岡らしいサッカー、どういうサッカーが地域に合っているサッカーだと思いますか?

布部 最後まで諦めないプレー、これに尽きるんじゃないでしょうか。
タッチライン、出るか出ないかというギリギリのところで、スライディングやって絶対に出さないぞとか。ゴール前で身体全部、もう頭から突っ込んでゴールを決める、みたいな。
 そういう最後まで諦めない、激しくぶつかって前に前に攻撃的に。
  守備も、攻撃的と、守備的と、あると思うんですよ。もうアグレッシブにがんがん行って、ぶつかって何もさせないぐらい。
 ラフプレーって駄目ですけど、それに近いプレーって、必要だし、もともとのサッカーはルールといっても命がけ。それぐらいの、負けられないんだっていう、気持ちの伝わるサッカーってのが、福岡らしいサッカーじゃないですかね。
  最後は、計算できないハートとか気持ちだと思うんですよ。

[2009年J2,第20節現在]
シュート数 192 17位(18チーム中)
タックル数 388 18位(J2最下位)
■言霊(コトダマ)
数年前、九州来訪の折、助手席に乗せた山口先生から直接聞いた話し。

ラグビーイングランド代表が初来日。

日本代表とゲームをすることとなった。体格差だけでなく技術も経験も、とても対等には戦えない相手。

ゲーム開始前のロッカールーム。

盃に水を注ぎ、お神酒を頂くように全員で回し飲み。山口先生の番。わずか数CCの冷たい水が五臓六腑に染みとおる。

今生の別れの盃。

最後に大西先生(当時日本代表監督)。一気に盃を飲みほす。

先生その空になった盃を、右手であらん限りの力で床に叩きつける。

「死んで来い!」

たったひと言である。



チームを結束させるのに魂を揺さぶるに、多くの言葉は不要である。

山口先生はそのゲーム、桜のジャージーを身にまとい無我夢中でイングランドの大男たち相手に互角に最後まで戦い尽くした。死力を尽くして。


「大西先生の域にはまだ達してはいません」と。

*大西先生は大西鉄之助先生、山口先生は後の伏見工ラグビー部監督。