屈辱的なゲーム

ダービーは戦いの気持ちが強い方に、必ず女神が微笑む。
今季二度目となるダービーは、鳥栖の方が局面で厳しく、あくまでも素早く、気魄にあふれたプレーをしていた。
この夜に限ってではないかも知れないが、ベンチも、選手たちも、サポーターほどには気持ちを前面には出していなかった。
■失った福岡の戦い方
パスサッカーは、国内では技術のある選手が多いガンバが抜けている。
福岡が突然パスサッカーを始めたのはリトバルスキーが就任してからである。
この、当地の人々に決して「受け」が良くないやり方を、S級取りたての現監督は前任者を引き継ぎ、頑固に推し進めようとしている。
アウェイのこのゲーム、守備を固めにした上で後から押し上げながら主導権を握るやり方ではなく、フリーランニングやワンツー、ポジションチェンジやるわけでもなく、ボールだけを運ぼうとする単調な戦いぶり。ロスタイム以外は、気魄に勝る鳥栖のゲームとなった。
動きながらスペースを作る、スペースを作りながら動く、そしてその上でボールが回る、といったセオリーなどどこにもなかった。
シーズン前、「篠田さんはどういうサッカーをやるのですか?」と聞いても、それには答えず「あくまでも調子の良い、頑張ってる選手と一緒に戦いたい。」としか表現できなかったが。
チーム統括も、「どう戦うのか」よりも「誰をとにかく集めるのか」を優先したオフ。
■一体感
端から見た印象であるが、周りのコーチの協力も少なく、篠田監督は少し(かなり、か?)孤立しているようにも思える。
そばにさえいれば、S級という肩書きさえあればこのチームの監督になれる可能性が高い。
支えるべき二人のコーチも人の子なら、「あわよくば」「この先、自分に芽が向いて来るかも知れない。」というのは正直なところだろう。ゲーム中、3人が話したり、声かけたりしてるシーンは一度もない。
吉田選手を中心に話し合いはしているようだが、選手たちもなかなか一体になれていない。
ベテラン勢は来季の契約が継続できるのか、心配になり。中堅は来季の体制がどうなるのか気もそぞろ。若手は頑張っても報われないことに焦燥感がにじみでている。
こういう時こそ布部のような存在が必要。
この未曾有の苦境の中、統括として修羅場を経験したことがないGMは、距離を置いて見放しているようにも思う。あくまで印象でしかないが。
■アビ芝
昼間は博多第二幼稚園での「アビ芝」。
TVクルーやマスコミも取材に来ていたが、可愛い小さな手も加わった草の根の活動。
先頭に立ってムーブメントを起こそうとしている博報堂のHさんの話では「9月が楽しみ」とか。
子供たちが裸足になってグランドで駆け回る日はそう遠くない。砂ほこりのグラウンドも、この夏を越せば緑の絨毯になるだろう。
地域の地道な活動は少しづつ実を結びつつある。
しかし、メッセージすべき人がメッセージできず、チームは停滞を続けている。