指揮官の深謀

チームは準決勝まで良く行ったというべきであろうか。
WBCは紆余曲折があって山本浩二が監督を務めることになった。準決勝での敗退の要因は様ざまであろうが、一番の要因は指揮官が山本浩二であったということにつきる。
彼は残念ながらプロの指揮官としては深謀のタイプではない。
以下、今さらな話しを少しだけ。

■準決勝敗退の敗因と責任。
準決勝の一番の大きな敗因は8回の内川の走塁失敗にあるのではない。1点を取るのにも四苦八苦の息詰まる展開の中、このゲームは結果として2番手投手が「2点本塁打を打たれてしまった」ことにある。

今大会の日本チームは、(ベンチの判断で)2番手投手の扱いが「2番目に投げる先発投手」という扱いであった。
そしてこの大会、その2番手投手がことごとく打たれた。国内開催のゲームはその後の打線の踏ん張りでなんとか乗り越えたが。
しかし。
アメリカの球場のマウンドは固い。先発した投手の足跡の調整は、柔らかなグランドの日本の球場と違って調整しにくい。コーチを務めた東尾も与田も、先発専門の投手の持つ細かいディテールは理解できたはずである。
アメリカのスタジアムの特徴を知るメジャー選手不在の大会であるなら、『大事なゲームほど』少なくとも前回大会の経験者や、国内でリリーフで結果を出している投手を繋ぎながらじょうずに当てはめるべきであった。

そして、走塁失敗の場面。選手の判断に下駄を預け、「行けるなら行け」。
ベンチは「次の投球で二人とも何が何でも走れ!」と具体的に命令すべきであったがそうはしなかった。
あのイチローでさえ何打席もヒットを打てないほど苦しみ抜き大きな緊張感の中で戦った前回大会。
今大会がメジャー選手不在であるなら、当然、細かく足で相手投手にプレッシャーを与え、繋ぎの野球でなんとか結果を出していくしかない。
しかし国内で足の速い選手、つまり昨年の盗塁王の2選手は外された。怪我もしていないのにである。
山本監督の思惑がどこにあったにせよ、大事な場面で「足」を武器にするなら彼らを含めそのような人選をすべきであったろう。
結果として日本コミッショナーは深謀に欠ける指揮官を選んだ。
という、今さらな話し。

*公私多忙に付き、福岡ー京都戦の雑感は明日にでも。